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防水筐体の品質を左右する、ロボット溶接の勘所とは?~自動化が製品の信頼性を高める理由~

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防水筐体の品質を左右する、ロボット溶接の勘所とは?~自動化が製品の信頼性を高める理由~

防水筐体の品質を左右する、ロボット溶接の勘所とは?
~自動化が製品の信頼性を高める理由~

屋外設置型のIoT機器やFA制御盤、精密医療機器など、今やあらゆる製品で高い防水・防塵性能が求められています。その製品の信頼性を根底から支えるのが、筐体の「気密性」を確保する溶接技術です。
 
近年、製造現場ではロボット溶接の導入が急速に進んでいますが、これが「防水性」にどのような影響を与えるかご存知でしょうか。
 
本記事では、防水筐体の設計・製造を手掛けるポルックステクノが、ロボット溶接が防水性能に与えるメリットと、その効果を最大限に引き出すための注意点を、技術的な視点からわかりやすく解説します。
 

 

 

1. なぜ「防水性能」が重要なのか?

産業機器や精密機器にとって、水や湿気の侵入は、基板のショートや腐食による故障に直結します。これは製品の信頼性を損なうだけでなく、時にユーザーの安全を脅かす重大な問題に発展する可能性もあります。
 
特に、屋外の過酷な環境や、洗浄が必要な現場で使われる筐体において、継ぎ目の「溶接品質」は、防水性能、ひいては製品寿命を決定づける極めて重要な要素なのです。
 

 

2. ロボット溶接と手動溶接、決定的な違い

溶接の品質は、「ビード(溶接線)の均一性」や「熱のかかり方」に大きく左右されます。ここで、ロボットと人による溶接の違いを見てみましょう。
 

観点 手動溶接 ロボット溶接
精度 作業者の技量に左右される プログラム通りに一定精度で施工
再現性 日によって差が出やすい 常に同じ品質を再現可能
ビード形状 不均一になりやすい 均一な溶け込みが得られる
作業速度 状況により変動 一定速度で安定
 

3. 防水性能を高める3つの技術的ポイント

ロボット溶接が防水性能に貢献する理由は、主に以下の3点に集約されます。
 

1. 均一な溶け込みによるピンホール(微細な穴)の防止

一定の速度とトーチ角度で施工することで、母材への溶け込みが均一になり、水漏れの原因となるピンホールやクラックの発生を根本から防ぎます。特に、当社が手掛けるような薄板のステンレス筐体など、熱による変形がシビアな製品では、ロボット溶接による精密な熱コントロールがIP67以上の高い防水性能を安定して実現する鍵となっています。
 

2. 最適な熱コントロールによる変形の抑制

過度な熱入力は金属の変形や焼けを引き起こし、パネル間に歪みを生じさせ、防水性に悪影響を及ぼします。ロボット溶接では、事前にテストを重ねて熱条件を最適化できるため、こうしたリスクを最小限に抑えることが可能です。
 

3. 設計値通りのビード形状によるシール性の確保

ロボットは、ビードの幅や高さを設計値どおりに正確に維持することができます。これにより、ガスケットなどのシール材が当たる面が平滑に保たれ、確実なシール性(液体の通り抜け防止)を実現しやすくなります。
 

 

4. ただし、「ロボットだから完璧」ではない!注意すべき点

もちろん、ロボット溶接機を導入すれば、常に完璧な防水性が得られるわけではありません。以下の要素が揃って初めて、その真価が発揮されます。
 

  • 初期設定やティーチング(動作設定)の精度
  • 製品を固定する治具や部品の位置ズレ
  • 材料のロットごとの微妙なばらつきによる熱影響の違い
  • 複雑な継手形状への対応限界

ロボットはあくまで「指示通りに動く」存在です。つまり、事前の設計、治具精度、そして日々の品質管理が、従来以上に重要となるのです。だからこそポルックステクノでは、設計段階から溶接箇所や継手形状を考慮に入れる「量産を見据えた設計提案」を重視しています。
 

 

5. まとめ:周辺技術との連携が、真の防水性能を生む

ロボット溶接は、防水性・気密性の確保において非常に有効な手段です。
 
しかし、その効果を最大限に発揮させるには、「設計」「冶具精度」「溶接条件の最適化」「品質管理」といった周辺技術との総合的な連携が不可欠です。
 
自動化が進む中で、「ロボットなら間違いない」という思い込みを避け、防水性の観点からも適切なプロセスを設計・管理できるパートナーを選ぶことが、製品の信頼性を高める上で最も重要と言えるでしょう。
 

 

▼ ポルックステクノにご相談ください

ポルックステクノでは、最新のロボット溶接技術と、50年以上にわたり培ってきた筐体設計のノウハウを組み合わせ、お客様の製品に最適な防水ソリューションをワンストップで提案します。
 

  • 「図面段階から、溶接に適した構造を相談したい」
  • 「試作品の防水試験で、どうしても漏れが止まらない」
  • 「手動溶接の品質のばらつきに悩んでいる」
  • 「現在の品質を維持しつつ、コストダウンと納期短縮を実現したい」

このような課題をお持ちでしたら、ぜひ一度お気軽にご相談ください。
 
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※本記事は一般的な技術情報に基づいて構成しています。実際の溶接条件や評価基準は製品仕様や設計要件に応じて異なります。
 

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