
【業界別防水設計アプローチ】電力・エネルギー、自動車、セキュリティ、通信、産業機器、医療機器
防水設計は、製品の用途や環境に応じて異なる要件を満たす必要があります。
本記事では、電力・エネルギー、自動車、セキュリティ・監視システム、通信機器、産業機器、医療機器の6つの業界に焦点を当て、それぞれの特殊要件と防水設計の対策について解説します。
1. 電力・エネルギー関連
対象製品例:
- 逆潮流防止装置
- 太陽光発電関連製品
特殊要件:
- 屋外設置が多いため、防水性能だけでなく防塵性能も求められる(IP65以上が一般的)。
- 長期間の耐候性が必要であり、高温や低温にも耐える設計が求められる
設計対策:
- 筐体素材の選定:
耐候性に優れたアルミニウム合金や耐UVプラスチックを使用。 - シーリング材:
耐熱性と耐久性を兼ね備えたシリコーンガスケットを採用。 - ベント構造:
圧力変化による筐体の変形を防ぐため、防水ベントを設置。
2. 自動車関連
対象製品例
- ターボキット
- インタークーラーキット
- エアークリーナーキット
特殊要件
- エンジンルーム内で使用されるため、高温や振動への耐性が必要。
- 洗車時や雨天時の高圧洗浄にも耐える防水性能(IP67〜IP69K)が求められる。
設計対策
- 耐熱材料の使用:
高温環境でも性能を維持するシール材やガスケットを採用。 - 振動対策:
振動による緩みや隙間発生を防ぐため、防振パッドや締結部品を強化。 - コーティング処理:
部品 表面防錆コーティングを施し、水分や湿気による腐食を防止。
3. セキュリティ・監視システム
対象製品例
- ナンバープレート認識カメラ
- 精算機
- 駐車場向けカメラ製品
特殊要件
- 屋外設置が多く、防水性能(IP66以上)と耐衝撃性が求められる。
- 温度変化や湿度変化にも対応可能な設計が必要。
設計対策
- 密閉構造の採用:
カメラ筐体には一体型構造を採用し、水分侵入リスクを最小化。 - 撥水コーティングレンズ:
レンズ表面に撥水加工を施し、雨滴による視界不良を防止。 - ヒーター内蔵構造:
冷却時に結露が発生しないよう、内部ヒーターで温度調整を実施。
4. 通信機器
対象製品例
- 無線通信機器(2.4GHz帯、Bluetooth)
- 光中継装置
特殊要件
- アンテナ部分は電波透過性と防水性の両立が必要。
- 屋外設置の場合、防塵性能(IP65以上)も重要となる。
設計対策
- アンテナ部材選定:
防水性と電波透過性に優れたPTFEや特殊樹脂を使用。 - 通気設計:
内部で発生する熱を逃がすため、防水ベント付き通気孔を配置。 - モジュール化構造:
防水性能が必要な部分と不要な部分を分離し、効率的な設計を実現。
5. 産業機器
対象製品例
- FA装置用エアシリンダ
- 除振台
- レーザ光源およびレーザヘッド
特殊要件
- 工場内で使用されるため、防塵性能(IP54〜IP65)が重要。
- 冷却性能と防水性能の両立が求められる。
設計対策
- 冷却構造の工夫:
水冷式レーザヘッドには冷却回路とシール材による二重保護構造を採用。 - ダストカバー:
エアシリンダにはダストカバー付き筐体で粉塵侵入を最小限に抑える。 - 耐薬品素材:
工場環境で使用される薬品への耐性も考慮した材料選定。
6. 医療・研究機器
対象製品例
- 精密液体分注装置
- 高精度減衰器
- 電極用冷却ラック
特殊要件
- 液体操作が多いため、防水性能(IPX7以上)が必須。
- 医療現場では清潔さも重視されるため、洗浄耐性や耐薬品性も必要。
設計対策
- ポッティング処理:
電子基板全体に樹脂封止処理を施し、水分から保護。 - ステンレス筐体:
耐薬品性と清潔さを両立するため、ステンレス素材を採用。 - 分解可能なシール:
メンテナンス時に簡単に取り外せるシール構造で利便性向上。
まとめ
各業界ごとの特殊要件に応じた防水設計は、それぞれ異なる課題と対策が求められます。
このような工夫によって、安全で信頼性の高い製品開発が可能になります。

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